睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome、以下SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する、または著しく浅くなる状態を繰り返す疾患です。
この症状は、単なるいびきとは異なり、健康にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
呼吸が止まることで体内に十分な酸素が供給されず、日中の眠気や集中力の低下、高血圧、心疾患などのリスクが高まることが知られています。
SASは主に「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」と「中枢性睡眠時無呼吸(CSA)」の2種類に分類されます。
OSAは、気道が物理的に塞がれることで呼吸が妨げられるもので、最も一般的なタイプです。
一方、CSAは脳からの呼吸指令が一時的に停止することで発生します。
いずれの場合も、早期の診断と治療が重要です。
睡眠時無呼吸症候群の主な症状
睡眠時無呼吸症候群の症状は多岐にわたりますが、特に以下のようなものが代表的です。
いびき
大きないびきをかくことが多く、家族やパートナーから指摘されることがあります。
日中の眠気
夜間の睡眠が断続的になるため、日中に強い眠気を感じることがあります。
起床時の疲労感
十分な時間寝ても疲れが取れないことがあります。
集中力や記憶力の低下
脳への酸素供給が不十分になることで、これらの機能が低下する可能性があります。
その他の症状
夜間の頻尿や頭痛、口の乾きなども見られる場合があります。
これらの症状を放置すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、高血圧や心疾患、糖尿病などの生活習慣病を引き起こすリスクが高まります。
睡眠時無呼吸症候群の原因
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の場合、最も一般的な原因は気道が狭くなることです。 この狭窄は以下の要因によって引き起こされることがあります。
肥満
首周りに脂肪が蓄積することで気道が狭くなる可能性があります。
加齢
年齢を重ねることで筋肉が弛緩しやすくなり、気道が閉じやすくなります。
解剖学的特徴
顎が小さい、舌が大きい、扁桃腺やアデノイドが肥大しているなどの特徴もリスク要因となります。
生活習慣
アルコール摂取や喫煙は筋肉を弛緩させるため、症状を悪化させることがあります。
一方、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の場合は脳や神経系の問題が原因となることが多く、高齢者や心疾患を持つ方に多く見られます。
睡眠時無呼吸症候群の診断方法
睡眠時無呼吸症候群の診断には、専門的な検査が必要です。 当院では以下のような方法で診断を行います。
1. 問診
患者様やそのご家族から症状について詳しくお伺いします。
いびきの有無や日中の眠気、生活習慣などを確認します。
2. 自宅で行える簡易検査
ポータブル装置を使用し、自宅で睡眠中の呼吸状態を測定することが可能です。
この検査では、酸素飽和度や呼吸停止回数などを記録します。
3. 精密検査(終夜ポリソムノグラフィー)
より詳しい診断を必要とする場合は、専門施設で行う精密検査をおすすめします。
この検査では脳波や筋電図、心拍数なども記録し、詳細な分析を行います。
当院では患者様一人ひとりに適した検査方法をご提案し、正確な診断を目指します。
睡眠時無呼吸症候群の治療方法
睡眠時無呼吸症候群の治療方法は、その原因や重症度によって異なります。
当院では以下のような治療法を提供しています。
ライフスタイルの改善

軽度の場合は生活習慣の見直しが効果的です。
体重管理や適度な運動、禁煙・禁酒などを推奨します。
また、横向きで寝ることで気道が確保されやすくなるため、寝姿勢の工夫も有効です。
マウスピース(口腔内装置)

中等度までのOSAには、特別に設計されたマウスピースを使用することで気道を広げる治療法があります。
当院では患者様のお口に合ったオーダーメイドのマウスピースを作成し、安全かつ効果的な治療を提供します。
CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)

重度の場合にはCPAP装置を使用することがあります。
この装置は空気を一定圧で送り込み、気道が閉じないようにするものです。
CPAP療法は非常に効果的ですが、装置に慣れるまで時間がかかる場合があります。
当院では使用方法について丁寧にサポートいたします。
外科手術

解剖学的な問題が原因の場合には手術が選択肢となることもあります。
例えば扁桃腺やアデノイドの除去手術などがあります。
ただし、多くの場合は非侵襲的な治療法から試みます。
当院での治療の特徴
当院では睡眠時無呼吸症候群に対して総合的なアプローチを行っています。
まずは患者様一人ひとりのお悩みや生活背景を丁寧に伺い、その上で最適な治療法をご提案します。
また、歯科医院ならではの専門知識を活かし、高品質なマウスピース治療を提供しています。
さらに必要に応じて他科との連携も行い、安心して治療を受けていただける体制を整えています。
睡眠時無呼吸症候群は放置すると健康リスクが高まるだけでなく、生活の質(QOL)にも大きな影響を与える疾患です。
しかし、適切な診断と治療によって症状を改善し、快適な日常生活を取り戻すことが可能です。
「最近よく眠れない」「日中いつも眠い」と感じる方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
私たちと一緒に健康的で快適な睡眠を取り戻しましょう。