歯周病治療

歯周病は、日本人成人の多くが罹患しているとされる病気で、歯を支える歯茎や骨に影響を及ぼす恐ろしい疾患です。
放置すると歯を失う原因となるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、歯周病の原因やリスク、進行度、そして治療方法について詳しく解説します。
歯周病の原因

歯周病の主な原因は、歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌の塊です。
この細菌が歯と歯茎の間に溜まり、炎症を引き起こします。
適切なブラッシングや歯科医院での定期的なクリーニングが行われない場合、歯垢が硬化して歯石となり、さらに細菌が蓄積しやすい環境を作り出します。
また、以下のような要因も歯周病のリスクを高めるとされています
喫煙
タバコは血流を悪化させ、歯茎の健康を損ないます。
さらに免疫機能を低下させるため、細菌に対する抵抗力が弱まります。
糖尿病
血糖値のコントロールが不十分だと感染症にかかりやすくなり、歯周病のリスクが増加します。
不規則な生活習慣
睡眠不足やストレスは免疫力を低下させ、歯周病の進行を加速させる可能性があります。
遺伝的要因
家族に歯周病の既往歴がある場合、そのリスクが高まることがあります。
歯周病を放置することのリスク
歯周病を放置すると、口腔内だけでなく全身にも深刻な影響を及ぼすことがあります。

歯の喪失
歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていきます。
その結果、歯がぐらつき、最終的には抜け落ちてしまうことがあります。
全身疾患との関連
近年の研究では、歯周病が心疾患や糖尿病、さらには早産や低体重児出産などと関連していることが明らかになっています。
口腔内で発生した炎症が血流を通じて全身に広がることで、これらの疾患を引き起こすリスクが高まるとされています。
生活の質(QOL)の低下
歯周病によって口臭や歯茎からの出血が起こると、人前で話すことに自信を失ったり、食事を楽しむことが難しくなる場合があります。
これにより、精神的なストレスや社会的な孤立感を感じることもあります。
歯周病の進行度
歯周病はその進行度に応じて以下のように分類されます。

1. 歯肉炎(初期段階)
この段階では、主に歯茎に炎症が見られます。
歯磨き時に出血することがありますが、痛みはほとんど感じません。
適切なケアを行えば、この段階で治癒する可能性が高いです。

2. 軽度〜中等度の歯周炎
炎症が進行し、歯茎だけでなく歯槽骨にも影響を及ぼします。
歯茎が下がり始め、歯と歯茎の間に「ポケット」と呼ばれる隙間ができることがあります。
このポケットに細菌が溜まりやすくなり、悪化するリスクが高まります。

3. 重度の歯周炎
この段階では、歯槽骨の破壊が著しく進みます。
歯がぐらつき始めたり、痛みを感じたりすることがあります。
最終的には抜歯が必要になる場合もあります。
歯周病の治療方法
歯周病治療は、その進行度や患者さん個々の状況に応じて異なります。
以下に代表的な治療方法をご紹介します。
1. スケーリングとルートプレーニング

初期段階や軽度〜中等度の歯周病の場合、スケーリング(歯石除去)とルートプレーニング(根面清掃)が行われます。
これにより、細菌や汚れを徹底的に除去し、炎症を抑えることが可能です。
2. 抗菌薬の使用

場合によっては、抗菌薬を併用することで細菌感染を抑えることがあります。
抗菌薬は飲み薬や塗り薬として処方されることがあります。
3. 外科的治療

重度の歯周炎では、外科的な治療が必要になる場合があります。
例えば、「フラップ手術」では、歯茎を切開してポケット内を直接清掃し、その後再び縫合します。
また、失われた骨を再生させるために「骨再生療法」が行われることもあります。
4. メインテナンス治療

治療後も定期的なメインテナンスが必要です。
これは再発防止だけでなく、新たな問題を早期に発見するためにも重要です。
定期的なクリーニングや検診を受けることで健康な口腔環境を維持できます。
歯周病予防の重要性

治療だけでなく予防も非常に重要です。
毎日の正しいブラッシングやフロスの使用、バランスの取れた食事、禁煙など健康的な生活習慣を心掛けましょう。
また、少なくとも半年に一度は歯科医院で定期検診を受けることをおすすめします。
歯周病は初期段階では自覚症状が少なく、多くの場合気付かないうちに進行してしまいます。
しかし、その影響は口腔内だけでなく全身にも及ぶため、早期発見と適切な治療が何よりも重要です。
当院では丁寧な診断と患者さん一人ひとりに合わせた治療計画をご提案しています。
お口の健康を守るためにも、お気軽にご相談ください。